一般の方を対象にした我々の活動は
一般の方への啓発活動
→例えば公開講座「乳がん市民フォーラム」
→例えばSBCCSG乳がん無料相談会
→例えば講演DVD無料貸出
→例えばこのページの「乳がんQ&A」
今後もいろいろな展開を考えて参ります.
一般の方を対象にDVD無料貸し出し中
市民フォーラムの講演内容などをDVDでお貸しすることができます.
・当日参加できなかった方,もう一度見直してみたい方
・乳がんに興味をもった方
・乳がんについて知りたい看護師さん,薬剤師さん
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現在ご利用いただけるコンテンツは
@DVD3枚組「第7回乳がん市民フォーラム in 大宮」全編
『乳がんの全てを知ろう ー予防からメンタルケアまでー』
(平成20年4月27日)
ADVD2枚組「第6回乳がん市民フォーラム in 川越」全編
『自分の体は、自分で守る!乳がんの早期発見』
(平成19年6月2日)
B乳腺自己検診講座『自分で見つけよう,自分で守ろう』
東京都北区保健衛生事業 甲斐敏弘
(平成18年8月10日)
DVD貸出について↓のようなご意見を頂いております.
H様 『治療の過程で手術が終わって落ち着くまでは気持的に余裕もなく
ネット等で病気についての情報を集める事はあっても、なかなか
情報の正確度等もわからないまま不要に不安を煽ることもあります。
又ご講演もメモをとりながら拝聴しているつもりでも、終了後見直すと
わからない箇所もあり、今回のような先生方のご講演を拝聴できる
機会のご提供、DVDの貸し出しは、患者にとっては大変有難く嬉しく
思います。市民フォーラムも参加したくても体調や日程・会場の場所
によっては参加できない事もあり、来年からDVDを作成されるご予定
とのお話は一般市民患者の立場として大変嬉しく思います。』
Y様 『ありがとうございます。先日、母が乳がんと告知されまして、私も何か力になれないかと色々情報を集めたり、勉強をしたりとしています。』
『この度は,DVDをお貸し頂き,ありがとうございました.
とても勉強になり,母とも真剣に向き合うことができました.
これからも,私のような情報を求める者に,資料を提供してあげてください』
U様
『お送りいただいたDVDを拝見いたしました.それぞれわかりやすい説明でした.わたくしは2002年に乳がんの手術を受けました.しかし心の片隅には常に再発したらという不安はあります.治療はどのようなものになるのか・・?最後まで人生を楽しめるのかどうか・・?それにはどの病院に行ったらよいのか・・?もしも万が一の時には,適切な治療をいつでも安心して受けられるよう,これからもこちらのホームページで勉強を続けていきたいと思います.』
T様
『このたびはDVDをありがとうございました.何度かみせていただき,とても参考になりました.また,埼玉にこのような病院を超えた先生たちの集まりがあることを,とても誇りに思います.(また,ホームページを拝見いたします)願わくば,私のような患者だけでなく,一般(?)の方にぜひ,知っていただきたいですね!そして検診を受けてほしいです.切手を同封させていただきました.使って下さいませ.まずは,お礼まで.(切手シートを同封していただきました)』
乳がんQ&A集 『 知っていただきたい乳がんのこと 』 (さらに追加分担執筆中)
目次
I.はじめに
1 乳がんが増えているとよく聞きます.
2 乳がんは若い人の病気?
3 じゃあ何をすれば良いの?
II.検診に関すること
1 何歳から乳がん検診を受ければいいでしょうか?
2 シコリがあるのですが,検診を受けるべきですか?
3 どこに行けば検診を受けられますか?
4 母親が乳がんなのですが,私はどうすれば良いですか?
5 更年期障害でホルモン補充療法を受けています.
6 絶対に乳がんになりたくないのですが,予防方法はありますか?
7 以前に子宮や卵巣の病気になったのですが,乳がんにもなりやすいですか?
8 豊胸術を受けると将来的に乳がんになりやすいということはありませんか?
9 豊胸術後ですが、乳がん検診を受けたいと思います。気をつけることはありますか?
III.自覚症状に関すること
1 乳房が痛いのですが,乳がんでしょうか?
2 乳がんは硬いのですか?
3 乳首からおっぱいのようなものがでます.
4 乳首が痒いのですが大丈夫でしょうか?
IV.病名,病気に関すること
1 乳腺症といわれたのですが,大丈夫でしょうか?
2 乳腺症だけど経過観察が必要と言われました.乳がんになるのでしょうか?
3 線維腺腫があるといわれました.取らなくていいのでしょうか?
4 嚢胞があるといわれました.
5 乳管内乳頭腫があるといわれました.
6 乳腺炎を繰り返すのですが、乳がんとの関係は無いのでしょうか.
7 乳がんにもいろいろあると聞きました
8 浸潤がんと非浸潤がんとはどう違うのですか?
9 あまり悪くない乳がんもあると聞いたのですが.
V.検査に関すること
1 乳腺の検査にはどんな方法がありますか?
2 マンモグラフィの放射能が心配です.
3 マンモグラフィの時にすごく痛いのですが大丈夫でしょうか?
4 マンモグラフィと超音波検査はどちらが良いでしょうか?
5 マンモグラフィで石灰化があると言われました.どうすれば良いでしょうか?
6 ステレオガイド下マンモトームをすると言われました.
7 超音波検査の時に針を刺して調べると言われました.どうすれば良いでしょうか?
8 細胞診と針生検はどう違うのですか?
9 乳管造影をすると言われたのですが、どんな検査でしょうか?
VI.手術に関すること
1 センチネルリンパ節生検という言葉をよく聞くのですが?
2 乳がんで乳腺を全部取るといわれたのですが.
3 乳がんの温存手術という言葉をよく聞くのですが珍しいのですか?
4 リンパ浮腫になると辛いという話しを聞いたのですが.
5 乳房の形成手術にはどんな方法がありますか?
VII.放射線治療に関すること
1 乳がんのとき放射線治療をすると聞きましたが
2 温存療法の後は放射線治療をするのでしょうか?
VIII.ホルモン療法に関すること
1 乳がんはホルモン療法が効くと聞いたのですが?
2 ホルモン療法に副作用はありますか?
IX.化学療法に関すること
1
2
3 抗がん剤の副作用が恐いのですが
4 抗がん剤を使うと髪の毛が抜けると聞いたのですが
5 ハーセプチンを使いたいのですが,どうすれば良いのでしょうか?
X.その他
1 セカンドオピニオンはどこに行けば受けられるでしょうか?
2
3 ストレスが病気に悪いとよくいわれますが.
4 乳がんの予防方法を教えてください.
I.はじめに
乳がんが増えているとよく聞きます.
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘)日本人がかかる癌の種類は欧米型に変わりました.女性では乳がん,大腸がんが増えているのが目立ちます. 日本人女性の25人に一人は一生のうちに乳がん経験すると言われています.昔は30人に一人と言っていたのですけど(グラフ参照). たぶんを欧米化した食生活,晩婚非婚の傾向,初潮年齢の低下などいろいろな原因があるのでしょう. だからと言って昔の生活スタイルには戻せませんよね.ならば,乳がん先進国である欧米に学ぶ必要があります. 9人に一人が乳がんになると言われているアメリカでは乳がん検診の普及で乳がん死亡率が低下してきたのです!
乳がんは若い人の病気?
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘)乳がんの特徴の一つは発症年齢が比較的若いことです(グラフ参照).
多くの癌はある程度年齢のいった初老期以降に見つかることが多いのですが,乳がんはちょっと違う.35歳から急増して45歳をピークに40歳代〜50歳代〜60歳代でかかる人が一番多いのです.
だから,小さいお子さんをお持ちのお母さんや,仕事が忙しい中堅社員にみつかる病気なのです.
そして厳しい現実ですが,30歳から64歳までの女性のがん死亡の原因としては一番多い病気なのです.
じゃあ何をすれば良いの?
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘)月に一度は「自己検診」.年に一度は「乳がん検診」.
自分でよく見てよく触ってくださいね.普段の状態をよく確認しておきましょう.
・見るポイント:左右の形や輪郭の違い,乳首が以前よりも陥没したり赤くなってないか,えくぼサイン
・触るポイント:左のおっぱいは右手で,右のおっぱいは左手.人差し指,中指,薬指を使って,
指を動かしながら押さえつける感じで触ります.
触って左右の比較もしてみましょう.系統的にまんべんなく触ってください.
この図を参照してください.
II.検診に関すること
何歳から乳がん検診を受ければいいでしょうか?
(埼玉県立がんセンター・二宮淳) 日本では1987年から30歳以上を対象に、問診・視触診による乳がん検診が始まりました。しかし死亡率を減少させるまでの結果が得られませんでした。一方、海外ではマンモグラフィによる検診が一般的で、40歳以上からその効果が認められています。
日本でも2000年から50歳以上を、2004年からは40歳以上を対象にマンモグラフィ検診が実施されるようになりました。
日本人の乳がんは年齢別にみて40歳〜55歳までに、かかり易さのピークがありますので、その点では40歳からマンモグラフィ検診を受ければ良いと思います。
しかし、血縁に乳がん患者さんがいる方や、過去に乳腺のシコリを取った方などはリスクが高いと考えられ、30代から検診を受けられた方が良いと思います。
補足@:30代は乳腺が豊富なためマンモグラフィは不向きな場合があり、超音波検診も重要となりますが、一度マンモグラフィも撮った方が良いでしょう。
補足A:血縁に乳がん患者さんが多い、または乳がんの他に卵巣がんの患者さんがいる方などは20代から検診を受けた方が良いと思われます。
シコリがあるのですが,検診を受けるべきですか?
(埼玉県立がんセンター・二宮淳)すでにシコリを感じているようでしたら、検診を待たずに、できれば乳腺専門の医療機関で精密検査を受けてください。 精密検査で異常なしとされても、その後は月に一度自己検診を行い、変化を感じたら再度受診される方が良いでしょう。
どこに行けば検診を受けられますか?
(埼玉県立がんセンター・二宮淳) 検診は市町村が主体で行っていますので、対象となる方には通知が来ます。(詳しくは各市町村の担当部署にお問い合わせ下さい。)
また、ご主人の会社や健康保険組合で乳房を含めた検診があれば、それを受けるのも良いですし、人間ドックを利用されるのも良いと思います。
何れにしても、40歳以上の方はマンモグラフィを取ってもらう方が良いでしょう。
病院に個人的に申し込む場合は、マンモグラフィの撮影機器や撮影技師・読影医師が認定を受けている施設が良いと思います。
NPO法人乳房健康研究会や
マンモグラフィ検診精度管理中央委員会、
NPO法人 J.POSHなどのホームページに検診に適した施設が紹介されていますので参照していただき、行きたい病院に問い合わせていただくのが良いでしょう。
(各市町村がマンモグラフィ検診を行っているかも、上記のホームページでわかります。)
**SBCCSG参加施設の検診,外来診療の案内について近日中に追加更新いたします**
母親が乳がんなのですが,私はどうすれば良いですか?
(埼玉県立がんセンター・吉田崇) 第一度近親者(母,姉妹,娘)に乳がんの人がいる場合,そうでない人に比べると,乳がんになる危険性は高くなります.
1人いると1.8倍,2人で2.9倍,3人で3.9倍乳癌の発症が認められたと報告されています.
原因としては遺伝的な原因と環境的な原因があります.家族は食生活などの生活環境も共有するので,遺伝的な原因がなくても家系内に同じ病気を発症することがあります.
家系の中に乳がんの人が複数いる場合を「家族性乳がん」と呼び,家族性乳がんのうち,遺伝子の異常が明らかで子供に受け継がれるものを「遺伝性乳がん」と呼びます.
遺伝性乳癌ではBRCA1 と BRCA2 という遺伝子の異常が関連していることがわかっています.欧米ではこれらの遺伝子の異常がみられる頻度は5〜10%といわれています.
日本人でははっきりとした頻度はわかっていませんが,もっと少ないと考えられています.
あまり神経質になる必要はないと思いますが, 30歳頃より月に1回自己検診を行い,年に1回乳がん検診を受け,早期発見につなげることが大切だと思います.
更年期障害でホルモン補充療法を受けています.
(埼玉県立がんセンター・吉田崇) ホルモン補充慮法には主に2つの方法があります.一つはエストロゲンだけを使う単独療法で,もう一つはエストロゲンと黄体ホルモンを使用する併用療法です.
エストロゲン単独療法では乳がんが増加するか,まだはっきりわかっていませんが,併用療法では乳がんになる危険性が高くなると言われています.
この危険性はホルモン補充療法の期間が長くなるほど高くなり(5年以上),やめると低くなると考えられています.
米国で主に白人の健常女性を対象としたホルモン補充療法の臨床試験では乳がんになる危険性が1.27倍高くなるという結果が出ています.
ホルモン補充療法は辛い更年期障害に対して有効な治療ですが,始める前や始めてからも定期的(6ヵ月から1年に1回)に乳がんの検査を受けるようにしたほうが良いと思います.
絶対に乳がんになりたくないのですが,予防方法はありますか?
(埼玉県立がんセンター・吉田崇) 残念ながら現在のところ,完全な予防法はありません.しかし,予防因子を取り入れ,危険因子をできるだけ避けるようにすればその可能性も多少は低くなると考えられます.
野菜,果物,穀物,海藻類,魚や大豆食品を多く食べる人は乳がんの発症が少ないという報告があります.
しかし,健康食品やサプリメントで服用した場合,乳がんの発症を減らすという報告はありません.
過剰摂取により悪影響が出る可能性もあり,お勧めはできません.
また,肥満(特に内蔵型肥満)は閉経後乳癌の発症と関係していますので食事以外にも適度な運動(少し汗ばむくらいの歩行やけるジョギングなどの有酸素運動を毎日10〜20分程度)を
心がけると良いと思います.
薬を使った予防に関しては,米国では乳がんになる危険性が高い女性へのタモキシフェン(乳がん治療薬)の予防効果が証明されています.
しかし,タモキシフェンにはまれに血栓症や子宮がんなどの副作用もありますし,日本では予防的投与は認められていません.
遺伝性乳がんに関しても日本では遺伝子診断や予防的な治療を行う適切な条件がまだ整っていません.
やはり月に1回自己検診を行い,年に1回乳がん検診を受けるのが良いと思います.
以前に子宮や卵巣の病気になったのですが,乳がんにもなりやすいですか?
(埼玉県立がんセンター・林 祐二)
子宮や卵巣の良性疾患(子宮筋腫,卵巣のう腫,卵管炎など)については,乳がんとの直接の関係は報告されておりません.
しかし,卵巣癌・子宮内膜癌の既往については乳がんのリスク因子の一つとしてあげられております.
その背景として上記のBRCA1というがん抑制遺伝子の異常が,乳がんと卵巣癌・子宮内膜癌の両方に関連していることがあげられています.
つまり,既往の卵巣がん,子宮内膜癌がBRCA遺伝子異常に関連したタイプのものである場合には,その方は後に乳がんに罹患する恐れが高いといえます.
また,BRCA遺伝子異常がある人が既に卵巣摘出をしていた場合には乳癌のリスクを減少させることができるとの報告もあります.
遺伝子に発生した変化をみつけだす検査法はすでに開発されており,がんになるリスクが高い人では同じ家系にある人をこうした遺伝子検査で調べるケースもありますが,
まだ日本では一般的ではありません.
豊胸術を受けると将来的に乳がんになりやすいということはありませんか?
(埼玉県立がんセンター・林 祐二)
現在,美容形成外科クリニックで行われている豊胸術はインプラント挿入と脂肪(幹細胞)注入の2つが主流です.
まずインプラントですが,かつてシリコン素材の豊胸用医療用具は乳がんおよび自己免疫疾患に関係しているとされていました.
しかし、現在はその因果関係は否定され,全世界で多くの医師が再び使用しています.
また,乳房への脂肪注入は自己組織の移植になるため,乳がんの発生とは関係ありません
(ただし乳房内に石灰化を形成することがあり,マンモグラフィー上は乳がんと見分けがつきにくいことが稀にあるようですが).
つまり,豊胸の手術をしていることが乳がんになるリスク因子にはならないと考えられます.
豊胸術後ですが、乳がん検診を受けたいと思います。気をつけることはありますか?
(埼玉県立がんセンター・林 祐二)
基本的には豊胸手術をしていない方と同じ方法で受けていただくことが可能です.現在,主に使われているインプラント用具は破裂して漏れ出すタイプではありませんのでマンモグラフィー検査も原則的には可能とされています
(ただし、古いタイプの生食バックはこの限りではありませんので,詳しくは実際に豊胸手術をしたクリニックでお尋ねください).
また,もしインプラントが破損しますと,再手術が必要になることもありますので,
あえてマンモグラフィに拘らず乳腺超音波検査を受ける方法もあると思います.
ただし,検査の際に豊胸術の有無により所見の判断が変わることもありますので,必ず豊胸手術したことを申告してください.豊胸手術の既往は他人に言いたくないことかもしれませんが,医療機関には守秘義務がありますので個人情報がもれることはありませんからご安心ください.
III.自覚症状に関すること
乳房が痛いのですが,乳がんでしょうか?
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘)たいていの乳がんは痛みはありません.ですから,せっかくしこりに気がついたのに,ついつい病院に行きそびれて年月を費やす人もいるのです.
乳腺や胸の痛みで病院に見える方の原因は乳腺症,乳腺炎,肋軟骨痛(ティーツェ病),肋間神経痛(帯状疱疹),モンドール病(皮下の血栓性静脈炎)などが多いようです.
(もちろん心筋梗塞,心筋炎などの重篤な疾患の場合は唇が青くなったり冷や汗をかいたり,血圧が下がったりして,スタスタ歩いて病院に来る人はあまりありません.たいていは.)
・乳腺症は多くは生理前に乳腺が張って痛みがでます.生理が終わると徐々に軽くなることが多いと思います.
・乳腺炎は痛みに皮膚の発赤,発熱などがあります.授乳期に起こすことが多いです.
・ティーツェ病は第二,三肋軟骨に痛みがでます.胸鎖鎖骨肥厚症で鎖骨と胸骨の関節に痛みがでる人もいます.
・肋間神経痛は背中から肋骨に沿って痛みがでます.結構息をするのも辛かったりします.また,数日して水泡がでて帯状疱疹と分かることもあります.
・モンドール病は皮下の静脈が詰って硬く痛みがでる病気です.ほっておけば治ります.
乳がんは硬いのですか?
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘) 乳がんはシコリを触れて病院に来る人が多いのですが,検査でしか見つからないようなシコリとしては触れずらい場合もあります.
では乳がんのシコリ硬いのでしょうか?シコリを触れる乳がんの場合は,たいていは硬く触れます.どっしりとした存在感があって,表面や境目もざらざらした感触があることが多いようです.
もちろん,深いところにできたシコリだと触っても難しいですし,割りにつるつるした乳がんも無いわけではありません.
一言でいうなら,触ってこうだから乳がんとか乳がんじゃないとか言えません.しかるべき病院でちゃんとした検査をしてもらいましょう.
乳首からおっぱいのようなものがでます.
(埼玉医大・重川 崇) 授乳期ではないにも関わらず,乳頭から何か液体が出る (乳頭異常分泌といいます) といって受診される方は乳腺外来全体のおよそ5〜10%で意外と多い症状の気がします.
まず,よく観察していただきたいのは出てくる液体の性状です.性状が乳汁様であれば悪性の可能性は低く,血液であれば悪性(乳癌)の可能性が高くなります.
また,見た目はサラサラで透明な液体の場合でも特殊な検査(潜血反応)で血液が確認されることもありますので注意が必要です.
また,通常片方の乳頭には約10〜20本の細い乳管が開口していますが,よく観察していただいて,そのうち1本の乳管のみから液体が出てくる場合は乳管内にできた腫瘍が原因の可能性が高く,注意が必要です.
逆に,両方の乳頭から同じように液体が出る場合や,片方の乳頭でもいくつかの乳管から液体が出てくる場合は腫瘍が原因である可能性は低いと考えられます.
いずれにしろ,授乳期ではないのに乳頭から液体が出てくる場合は,乳がんの可能性も念頭に置いて乳腺専門外来を受診された方が良いでしょう.
乳首が痒いのですが大丈夫でしょうか?
(埼玉医大・重川 崇)
乳首のかゆみは多くの場合,皮膚の乾燥などによる皮膚炎の一症状と思います.従いまして,かゆみがひどかったり,なかなか治らない場合は,
まずは皮膚科を受診していただき,塗り薬などで対処していただくことになります.
しかし,例外としましてパジェット病というまれなタイプの乳がんがあるということを知っておいてください.
見た目は乳頭から乳輪にかけて炎症を起こして赤いしっしんができ,かゆみと痛みを伴うことが多いです.
パジェット病の外観はよくある皮膚炎と似ているので,確定診断には組織を採って顕微鏡で調べる検査(生検)が必要となります.
皮膚炎の薬を塗っているのに数か月(2〜3か月)たってもよくならない場合はパジェット病の可能性も念頭に置いて乳腺専門外来を受診された方が良いでしょう.
IV.病名,病気に関すること
乳腺症といわれたのですが,大丈夫でしょうか?
(防衛医大・上田重人)乳腺症とは,もともと乳腺のなかにある正常な細胞がアンバランスに増えたり変化したりした、乳房のあちらこちらが硬くなる状態をいいます. その原因は,相対的なエストロゲン過剰という性ホルモンの不均衡によって起こるといわれています. 近年,ANDI(正常からの逸脱)という概念が提唱され,乳腺症は病的なものではなく,正常な発達や退縮からの逸脱,つまり良性疾患であるとした考えが一般的です. 以上より,乳腺症の多くは治療の必要はなく,定期的な検査で十分であると考えられますが,次項で述べるように,一部乳がんとまぎらわしい乳腺症もみられるため,針生検による病理組織検査と注意深い経過観察が必要となる場合があります.
乳腺症だけど経過観察が必要と言われました.乳がんになるのでしょうか?
(防衛医大・上田重人)多くの乳腺症は,触診,マンモグラフィー,超音波検査の組み合わせで乳がんとの鑑別が可能です.したがって,しこりや痛みを伴うけれども,画像検査で明らかな腫瘤像や悪性の石灰化がみられない場合,治療の必要なく,定期的な検査のみの経過観察で十分であると思います. しかし乳がんの中でも触診や画像検査で乳腺症とまぎらわしいことがあるため,針生検による病理組織検査で確定診断を行います. しこりが大きくならない非増殖性の病変では危険性はないようです.しかし,一部の乳腺症,特に異形成を伴う上皮の増殖性病変(異型乳管過形成や異型小葉増生症)のあるような乳腺症では,乳がんの発生リスクが高くなることが指摘されており,注意深い経過観察が必要になります.
線維腺腫があるといわれました.取らなくていいのでしょうか?
(防衛医大・上田重人)線維腺腫は好発年齢が25-35歳で弾性があるよく動く境界明瞭な腫瘍です.通常痛みは伴いません.
触診,マンモグラフィー,超音波検査の組み合わせで,線維腺腫は乳がんとの鑑別がおおよそ可能ですが,確定診断には針生検による病理組織検査が必要になります.
当科では線維腺腫の多くは針生検で病理組織の診断後,定期的な触診と超音波検査で,腫瘍のサイズを観察するのみです.
しかし,比較的サイズの大きいものや,急激に大きくなるような場合(これを巨大乳腺線維腫症と言います),悪性腫瘍との鑑別に切除が望まれます.
稀ですが乳腺線維腺腫と鑑別を必要とする腫瘍に葉状腫瘍と呼ばれる疾患があります.これも急激に大きくなることがあります.葉状腫瘍は良性腫瘍がほとんどですが,悪性のものもあります.
良性でも局所に再発することがあり,組織診断で葉状腫瘍と診断された場合,切除することが望まれます.
2004年4月,乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術(以下マンモトーム生検)とよばれる侵襲の少ない組織検査が保険適応となりました.マンモトーム生検では,鑑別の難しい乳腺腫瘍の組織診断の精度が向上するとともに,
良性腫瘍においては手術による摘出に代わるmass reduction(腫瘍縮小術)に有用となる可能性があります.
嚢胞があるといわれました.
(防衛医大・浅川英輝)乳腺嚢胞はいわゆる「乳房内のみずたまり」です.良性の変化であり乳腺症のうちの
ひとつです.嚢胞自体ががんに移行することはなく,基本的には1年に1回の検診で
十分といわれています.
症状としては乳房内に球状のしこりを触れ,コリコリと動きます.さわった時に痛み
を伴うこともあります.つまんだ時に皮膚にくぼみができる(えくぼ症状)は無いと
いわれています.乳腺嚢胞は,乳腺の加齢変化,または卵巣ホルモンのバランス変化
により,ミルクを作る組織(小葉)が変化し,小さな分泌液のたまりができたものが
大きくなり形成されます.40代前後にかけて多く見られ,正常な人でも小さいもの
は過半数の方にあるといわれます.
ただし,中に充実性の腫瘍を含むことや、腫瘍が原因でできるものも
ありますので念のため検査が必要です.超音波を使って穿刺吸引検査(細い注射針を使います)を行
い,中の液体が血液混じりでないかどうか吸ってみます.血液混じりの場合や,吸っ
ても2〜3ヶ月位ですぐに溜まってくる場合には嚢胞の中に腫瘍がかくれている可能
性がありますので,全体を取って調べるなどの処置をする場合があります.
乳管内乳頭腫があるといわれました.
(防衛医大・浅川英輝)乳管内乳頭腫は,乳管(ミルクを運ぶ管)のなかにできる良性腫瘍です.
はじめに気づく症状は,乳頭からの異常な分泌液(血混じりのことがあります)です.
時にしこりも触れることがあります.40代,50代に多いといわれます.片方の乳房だけ
で,さらにそのうちの1本の乳管だけが原因であることが多いです.
良性腫瘍とはいえ,乳頭から血混じりの異常な分泌があった場合に,詳しく調べると
3割程度にがんを認めるとも言われており,きちんとした検査と経過観察が大事で
す.また乳管内乳頭腫は,がん化する可能性があり,切除したとしてもその細胞の顔
つきが悪かった場合には,がんの発生リスクが数倍になったとする報告もあり,慎重
に経過をみます.
乳管内乳頭腫にたいしての検査は,いくつかを組み合わせて行います.まずは分泌液
をとり,分泌液に含まれる細胞の顔つきをみます.それだけだと不十分なことが多い
ので,分泌液の腫瘍マーカー量も測ります.乳がんであれば腫瘍マーカーは7割がた
で陽性となりますが,良性でも数%程度は陽性になります.場合によって乳管造影検
査,乳管内視鏡検査,マンモグラフィー,超音波,組織を摘出しての検査を追加する
こともあります.
基本的に,治療は摘出と経過観察ですが,各種検査をしても病変が明らかでない場合
などには経過観察だけすることもあります.
乳腺炎を繰り返すのですが、乳がんとの関係は無いのでしょうか.
(防衛医大・浅川英輝)乳腺炎には急性と慢性のものがあり,前者は通常授乳中の方に,
後者は若い方から中高年の方まで幅広い年齢層の方に起こります.
急性乳腺炎の症状は乳房全体の痛み,発赤,腫れ,熱感,などです.
原因はミルクのうっ滞です.それに乳頭から侵入した細菌が繁殖し起こります.膿のたまりをつくる
こともあり,その場合は皮膚を切って,膿を出す処置(ドレナージといいます)が必
要なこともあります.基本的に冷湿布,抗生物質の点滴や内服,ミルクをよくしぼっ
て出すことが大事です.膿がでている場合を除けば授乳をすることもできます.また
乳腺炎とよく似た症状の「炎症性乳がん」というものがありますが,
これは乳汁分泌の時期とは関係なく,はっきりした原因無く起こるものです.乳腺炎と区別が付きに
くいことが多く,専門医の受診をおすすめします.
慢性乳腺炎には,乳輪に近い部分の乳管がつまりやすくなることでできる
「乳輪下膿瘍」があります.乳輪の近くが腫れ,硬く触れます.ときに瘻孔ができて膿がでま
す.しこりを切開し,膿を出すことで炎症はおさまりますが,数ヶ月〜数年周期で反
復することがあります.根治のために,その部分を切除する方法などがあります.基
本的に乳がんとは異なるものですが,繰り返す場合は早めに専門医の受診をおすすめします.
乳がんにもいろいろあると聞きました
(埼玉医大・竹内英樹)ひとことで乳がんと言っても,じつに様々な種類や性格のものがあります.わかりやすく乳がんを人類に例えてみましょう. まず白人,黒人,黄色人種に分かれます.そしてそのそれぞれの人種がさらに国によって分かれます. われわれ日本人もひとつの種類として大別されますが,同じ日本人でも顔,性格が全員違います. さらに言うと,同じ個人でも子供のころと老人になってからでは,まったく顔と性格が変わることもあるでしょう. 乳がんもこれと同じで,しこりを顕微鏡で見て大まかに種類を分けますが, 同じ名前をつけられたとしてもその個性は微妙に違ってくるのです.また,子供のころと年老いてからの変化ように,見つける時期によっても違ってきます.
浸潤がんと非浸潤がんとはどう違うのですか?
(埼玉医大・竹内英樹)浸潤がんと非浸潤がんは種類の違いではなく,がんがまわりの組織にどこまで噛みついているかの違いです. 通常,乳汁の作られる小葉とそこから出る乳汁の通り道(乳管)をあわせて乳腺と呼び,そのまわりを脂肪などの組織が取り巻いて乳房のふくらみを形成しています. 乳がんはまず,小葉から出たところの乳管の中で発生すると考えられています.そこから小葉に向かって成長すれば小葉がん,乳管の中を乳首の方向に成長すれば乳管がんとよび, 乳がんのおよそ9割以上が乳管がんです.初期の乳がんは,まずこの乳管の中に根を伸ばすように成長していき,この状態を非浸潤がんとよびます. さらに時間が経過すると,がんは乳管を食い破り,まわりの組織に噛みついて浸潤がんとよばれるようになります. そしてもっとも重要なのは,がんが乳管を食い破ったその先にリンパ管や血管が存在し,がん細胞がリンパ管に流れ込めば腋のリンパ節に, 血管に流れ込めば全身臓器への転移を起こしてくるのです.
あまり悪くない乳がんもあると聞いたのですが.
(埼玉医大・竹内英樹)基本的に乳がんである以上すべて悪性です。しかし,実際には性格によってかなり違いがあり,人間にたとえると, 同じ悪い人といっても万引きの常習犯から殺人を犯した極悪人までかなり幅があるのと似ています. その中でも比較的おとなしいといわれているがんをあげてみますと,まず非浸潤がんは前の項でふれたように転移の可能性がきわめて低いと言えるでしょう. また種類としては髄様がんや粘液がんとよばれるものもおとなしいとされています. しかし最近では,がんの種類という垣根を越えた細かい性格分類によって議論されることが多くなっており,なかでも再発の危険性が高い性格として,顕微鏡でみた顔つきが悪いものや 女性ホルモンと無関係のもの,HER2(ハーツー)たんぱくが現れているもの,リンパの管に噛みついているなどの要素が挙げられています. いずれにせよ乳がんである以上,悪性であることに変わりはありませんので少しでも早い段階で発見し,適切な治療をうけることが最も重要です.
V.検査に関すること
乳腺の検査にはどんな方法がありますか?
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘)乳腺を調べるにはいろいろな方法があります.主なものは診断をつけるための検査である乳房X線検査(マンモグラフィ)と乳房超音波検査(エコー)と,
病気が見つかった場合の病変の広がりを調べるためのMRI検査やCT検査,PET-CT検査などに分けられるでしょう.
それ以外には乳管造影検査,乳管鏡などがあります.
マンモグラフィは乳腺を挟み込んでレントゲンをとる方法です.乳腺を挟み込むので多少痛みを伴う検査です.きちんと診断をするためにはトレーニングを受けた放射線技師が上手に撮影して,有資格の医師が読影する必要があります.
また,マンモグラフィは年代によって背景の乳腺と脂肪組織の量が変わっていきますので,若年の方は診断が難しい一面があります.
エコーは放射線被爆もありませんし,痛みもない検査ですから,妊娠中も問題なくできる検査です.腫瘤の写り方によってどのような病変かを推定することができますし,針を刺して細胞や組織検査をするときはエコーで見ながらすることが多いです.
マンモグラフィの放射能が心配です.
(自治医大大宮医療センター・吉岡知子)マンモグラフィ1回の撮影で受ける放射線の量は、東京−サンフランシスコ間を飛行機で往復するときに浴びる自然放射線(宇宙線)程度でわずかだと言われています。
ただし、妊娠中や妊娠の可能性のある方は担当医師に相談して下さい。
マンモグラフィの時にすごく痛いのですが大丈夫でしょうか?
(自治医大大宮医療センター・吉岡知子)マンモグラフィでは乳腺の中が見やすくきれいな写真をとるために圧迫をします。また薄くすることでX線被曝量を減らすことができます。 個人差がありますが、乳房のハリの少ない生理後に受けると圧迫の痛みが少ないようです。 痛み自体は問題ないですが、我慢できないときは遠慮せずに撮影する検査技師に伝えて下さい。
マンモグラフィと超音波検査はどちらが良いでしょうか?
(自治医大大宮医療センター・吉岡知子) それぞれに得意分野があります。マンモグラフィは石灰化病変に強いですし、特に高齢者では診断能が高いと言えます。ただ、痛みや被爆を伴うこと、若年者(乳腺がしっかり残っている人)では診断能がやや落ちることが考えられます。
一方、超音波検査は妊娠中でも繰り返し行うことができますし、マンモグラフィでコントラストのつきにくい若年者の検査にはより適していると言えます。また、細胞診や針生検をするときには必須の検査です。ただ、検診で行う場合には検者の技量に左右される面もあります。
もちろん乳腺診療においてはどちらも必要な検査方法ですし、お互いに補い合う関係とも言えるでしょう。
マンモグラフィで石灰化があると言われました.どうすれば良いでしょうか?
(川口市立医療センター・中野聡子)マンモグラフィでの石灰化は明らかな良性といえるものと、悪性との鑑別を必要とするものがあります。 明らかな良性ということであれば、心配することはありません。悪性との鑑別を必要とするものであれば、石灰化の形と広がりでカテゴリー分類をします。 カテゴリーは1から5までに分かれています。問題となるのはカテゴリー3以上ということになりますが、3は良性悪性どちらだかよくわからないが、どちらかというと良性を考えるというもの、 4はどちらだかよくわからないが、どちらかというと悪性を考えるというものです。 これは肉眼での判断となりますので3といっても悪性が10%程度ありますし、4といっても悪性は60%くらいということになります。 よって、3あるいは4といわれた場合に、どうしたらよいのかということになるわけです。 考えられる病態は、良性であれば、乳腺症が代表的ですし、悪性であれば癌の初期症状である非浸潤癌である可能性があります。 経過観察(悪性を疑う程度によりますが、大体は6ヶ月)か、もしくは、現時点でステレオガイド下マンモトーム(次の設問を参照)を行うのがよいでしょう。
ステレオガイド下マンモトームをすると言われました.
(川口市立医療センター・中野聡子)ステレオガイド下マンモトームというのは、石灰化病変に対する組織生検方法です。 石灰化は、しこりとしてふれることはなく、マンモグラフィを撮影して初めてその所在がわかります。 皆さんは、マンモグラフィを経験されたことがあるでしょうか?マンモグラフィで乳房を挟んだ状態で、そのまま検査をすすめていきます。皮膚切開は4mm程度で、局所麻酔を使用します。 石灰化を確認したら、吸引をかけながら組織を採取します。 検査時間は30分から1時間程度で、検査中同じ姿勢を保つのが大変ではありますが、1回針を刺せば吸引をかけながら十分な組織量が採取でき、また、傷も小さく縫合の必要がないという画期的な装置です。 石灰化が採取できれば、病理検査で約1週間程度で石灰化の原因となる病態がわかります。
超音波検査の時に針を刺して調べると言われました.どうすれば良いでしょうか?
(さいたま赤十字病院・有澤文夫)超音波検査で腫瘤が見つかったら、針で少量のサンプルを採取し、顕微鏡で観察します。マンモグラフィや超音波検査のみで腫瘤の性質がだいたいわかることもあるのですが、多くの場合は顕微鏡の検査で最終的な診断を行っています。
悪性を疑う場合だけではなく、良性であることを確認する意味で病理検査を行うことも多く、「針を刺す」からといって「悪性である」と決まったわけではありませんから、
あわてないように。
適切に行えばそれほど痛い検査ではありませんから、医師に勧められたら嫌がらずに、是非受けてください。
細胞診と針生検はどう違うのですか?
(さいたま赤十字病院・有澤文夫)
細胞診は細い針でしこりの部分をつつき、少量の細胞をとる検査です。採った細胞はスライドグラスに噴きつけて顕微鏡で見ます。
針生検はやや太い針で組織を固まりでとります。とった固まりをホルマリンで固め、薄くスライスし、何枚ものスライドグラスに貼り付け、顕微鏡で見ます。
針生検は少し太い針で採取するので、少し大変かもしれません。それでも針生検のときにはあらかじめ局所麻酔の注射をしますから、そんなに痛くは無いと思います。
より確実な診断が下せるのは針生検のほうです。
しこりの大きさやタイプによって、どちらの検査法を用いるのか、担当医が判断します。
乳管造影をすると言われたのですが、どんな検査でしょうか?
(さいたま赤十字病院・有澤文夫)乳管内造影とは、血性乳頭分泌が見られた場合に、マンモグラフィや超音波検査のみではよくわからない場合、分泌物がでてくる穴から造影剤を入れて、乳房の撮影を行います。
乳管内の微小病変を調べるのに有効な検査です。細い管を用いて造影剤を入れますが、分泌物が少量だと、管を入れるのが少し難しい場合もあります。
VI.手術に関すること
センチネルリンパ節生検という言葉をよく聞くのですが?
(さいたま赤十字病院・有澤文夫)センチネルリンパ節とは腫瘤の周囲のリンパ流が最初に流れる入るリンパ節のことです。
乳癌がわきの下のリンパ節に転移するときに、まず、センチネルリンパ節に転移するものと考えられています。
従来、乳癌の手術では同じ側のわきの下のリンパ節をすべて切除していました。しかし、健診が普及し、また、検査機器も精度が高くなってきたため、乳癌が小さいうちに診断できるようになってくると、
わきの下のリンパ節に癌細胞が転移していないうちに乳癌と診断がつく場合が増えました。
わきの下のリンパ節に転移が無かったのに、このリンパ節を全部採ってしまった場合、腕がむくんだり、腕にしびれ感が残ったり、後遺症が残る可能性が高くなります。
センチネルリンパ節生検とは、乳癌手術のダメージを軽減しようと始められた方法です。手術中にわきの下のセンチネルリンパ節を採取し、これをその場で、癌細胞の転移があるのかどうか調べます。
センチネルリンパ節に癌の転移が無ければ、その患者さんはわきの下のリンパ節に転移がなかったものと判断し、わきの下の手術を省略するという方法です。
センチネルリンパ節に癌細胞が確認されれば、従来どおり、わきの下の手術を行います。
乳がんで乳腺を全部取るといわれたのですが.
(赤心堂病院・山田博文)
乳癌と診断されて非常に驚かれている時に、さらに「手術で乳腺を全部取る」と説明を受けたなら、頭の中が混乱してしまうと思います。
これからの自分がどうなってしまうのか不安に駆られ、乳腺とともに大切な乳房がなくなってしまうというショックは人生を悲観的にさせる可能性があります。
そんな時大切なことはまず冷静になることです。
そもそも乳がんの手術方法は大きく分けて2種類あります。乳腺の一部を切除する乳房温存手術と乳腺を全部取る乳房切除術です。
乳腺を全部取るとは、乳房を取ることとなります。20年前には乳房を全部取る手術は標準的な乳癌治療として認められており、当時は乳がんでは胸部の筋肉や腋の下のリンパ節を全て切除していました。
そのために、美容上の問題や上肢がむくむという障害が起こっていました。
現在の乳房切除術では乳房を全部取っても筋肉や神経を温存し、リンパ節を必要なだけ切除する美容やむくみに配慮した手術が主流となっています。
乳がんのガイドラインという乳がんの専門家が乳がんの標準的な手術方法を定めたガイドブックがありますが、そこでは、乳房切除術(全部取る手術)を行われる場合には、
乳がんが広い範囲に認められる場合、しこりの大きさと乳房の大きさのバランスから美容的な仕上がりがよくないと予想される場合、患者さんが乳房温存術を望まない場合などが挙げられると述べられてあります。
一般的には基準の範囲内の病気が全摘の適応となりますが、手術を行っている施設の治療成績や治療グループの方針により乳腺を温存できる可能性は残っています。
乳がんで乳腺を全部とる必要がある場合には、必ず取らなければならない理由があります。主治医の先生になぜ乳房を全部取る必要があるのかをよく説明していただくと良いと思われます。
乳がんの温存手術という言葉をよく聞くのですが珍しいのですか?
(赤心堂病院・山田博文)
乳房温存術は乳腺の一部を切除して乳がんを取り除く方法を言います。そのために乳房の形が大きく損なわれずに美容的によい治療法です。
現在のところ乳房温存術は、胸部の筋肉を残して乳腺を全部切除する胸筋温存乳房切除術と共に乳がんの標準手術になっています。
手術成績は臨床病期0期の非浸潤性乳がんにおいて両者の間には生存率に差がなかったとの報告があります。
乳房温存手術の適応となる乳がんは、乳がんの標準的な治療法を記載してある乳がん治療のガイドラインには、
病期II期(しこりの大きさは3cm以下)が推奨されています。
しかし、乳がんの性格や存在部位を考慮することにより施設によって大きさや病期の適応が若干変わることがあります。
また、最近では、手術前に抗ガン剤治療を行うことで腫瘍を小さくすることや、病期を低く変えることにより乳腺をすべて取る手術から乳房温存術に変更することができる事もあります。
乳房温存手術の長所は、美容的に乳房を損なうことがないこと、手術の侵襲が少なくて済み早くもとの状態に戻りやすいことなどが挙げられます。一方、短所は、術後に放射線治療を行うことが多く放射線障害や時間的な面倒さがあること、手術後再発で局所再発の可能性が増加することなどです。乳がんの状態を主治医から十分説明を聞いた上で手術法を判断すると良いと思います。
リンパ浮腫になると辛いという話しを聞いたのですが.
(赤心堂病院・山田博文)
リンパ浮腫とは、乳がんのあった側(患側)の腋の下のリンパ節を切除することにより、患側の上肢のリンパの流れが不良になり上肢がむくむ状態を言います。
リンパ節を切除することを郭清(かくせい)と呼んでいます。郭清を十分行えば行うほど手術効果が上がると考えられたために、郭清によりリンパ液の流れが不良となりリンパ浮腫が多くなると考えられます。
リンパ浮腫の成因には、郭清のほかにリンパ流が増加する病態が関係しています。例えば患側の上肢に怪我をしてしまったことや過労をさせてしまったことにより、
上肢の炎症が起こり、リンパ流が増加してリンパの流れに支障を来たして浮腫むことがあります。
一端浮腫みが生じると、治療には難渋することが多く、なかなか浮腫みが引かないことがあります。
したがって、浮腫みを取る治療を考えるよりも予防することを考えたほうがよく、あまりにも多くの仕事を患側の上肢にさせないことや、炎症の原因になる傷をつけないように普段から気をつけることが大切です。
万一患側に傷を受けたら早めにしっかりと手当てを行うことが勧められます。
リンパ浮腫が起きてしまった場合には、上肢を柔らかくマッサージすることが基本となります。指圧の時のような強いマッサージはあまりよくありません。最初に脇の下のマッサージをして
脇に溜まったリンパ液を流してあげてから、次に手先から腋の下に向かって優しくマッサージを行います。
リンパ浮腫がさらに進行してしまった場合には、医師の指導の下でリハビリテーションを受けたり、上肢専用のサポーターを身につけたりします。残念ながら手術方法や薬での治療ではあまり効果ないようです。
現在においては、リンパ節郭清をできるだけ省略するために、センチネルリンパ節生検が行われるようになり、以前のようなリンパ節をすべて取るといった郭清を行うことが少なくなったためリンパ浮腫も減少しつつあります。
乳房の形成手術にはどんな方法がありますか?
(埼玉県立がんセンター・武井寛幸)
乳がんはの手術方法では乳房温存手術を受ける方が多くなってきました.それは検診で小さなしこりで見つかる人や,
MRIなどの画像診断の進歩によってしこりの広がりがよく分かるようになったり,
また,術前化学療法などによって予めがんを小さくすることが出来るようになったことなどによります.
しかし乳房温存手術は、しこりが大きい場合には、手術後の乳房の形が変化し、満足いくような結果が得られないこともあります.
また,乳房切除手術を受けた方で乳房のふくらみを取り戻したいと考える方も増えてきました.
そこで登場するのが乳房形成手術(乳房再建手術)です.乳房形成手術は,手術を行う時期と,再建する方法によっていくつかの方法に分かれます.
乳がんの手術と同時に行う方法(1期的再建術)と後から行う方法(2期的再建術),
また自分の組織(自家組織)を用いて再建する方法とシリコンバックなどの人工物(インプラント)を用いて再建する方法です.
それぞれの形成外科の先生によって得意な方法や考え方が異なったり,放射線照射の影響や局所再発の可能性の問題など,
いろいろな考え方ができる領域でもあります.主治医の先生や形成外科の先生の話をよくお聞きになることをお勧めします.
形成外科が併設されている病院はまだそれほど多くありません.しかし、病院間の連携は可能ですので,すでに乳がんの手術を受けられているかた,
また,これから受けるかたも,乳房形成手術の希望があるかたは主治医によくご相談いただきたいと思います.
VII.放射線治療に関すること
乳がんのとき放射線治療をすると聞きましたが
(獨協医大越谷病院・小島誠人) 乳がんのときの放射線治療には、再発に対する治療と温存療法の後に乳房に行う治療があります。
温存療法の後に乳房に行う治療については、次項を参照してください。
再発に対する治療は、局所再発と言って乳房を切除した後にできる腫瘤や発赤に対して局所を制御する目的で行う場合があります。
リンパ節転移に対しても同様に局所を制御する目的で行う場合があります。いずれの場合も全身転移を防ぐ目的で、化学療法やホルモン療法を併用することが多いです。
全身転移では、骨転移や脳転移に対しては放射線治療を行う場合があります。
転移性乳がんの治療は、化学療法やホルモン療法が中心ですから、骨転移や脳転移に対する放射線治療は、主に症状を抑える目的で行われます。
温存療法の後は放射線治療をするのでしょうか?
(獨協医大越谷病院・小島誠人) 乳房温存手術後に乳房内に残っているかもしれない乳がん細胞を消失させ、外観を損なわないで乳房内の再発を予防するために放射線治療を行います。
乳房温存手術後に放射線治療を行うことにより、乳房内再発率をおよそ1/3に減少させることができます。
治療に用いる放射線は、高エネルギーのX線です。リニアックという大型治療機器を用いて、電気の力で高エネルギーのX線を発生させ、体の外から乳房を治療(照射)します。
体に当たったX線は、エネルギーに変わって消滅するので、放射能としていつまでも残ることはありません。
照射したところだけに治療効果が出ます。X線は、乳がん細胞を壊しますが、同時に正常細胞も傷つけます。正常細胞の多くは数時間後に回復します。正常細胞のダメージが大きくならないように、
X線を少量ずつ何回かに分割して照射していくと、安全に放射線治療ができます。
VIII.ホルモン療法(内分泌療法)に関すること
乳がんはホルモン療法が効くと聞いたのですが?
(深谷赤十字病院・山下純男) 乳がんには女性ホルモンであるエストロゲンが関係するタイプと関係しないタイプがあります。ホルモンレセプター陽性〔エストロゲン受容体またはプロゲステロン受容体が(+)のとき〕の患者さんは
ホルモン療法が有効で、乳がん患者さん全体の60〜70%にあたり、手術後の使用で転移・再発が半数に減り、進行再発乳がんではがんの進行を抑える効果が認められております。
エストロゲンは閉経前では卵巣で作られ、閉経後では脂肪組織などにあるアロマターゼという酵素の働きにより男性ホルモンのアンドロゲンから作られます。
このエストロゲンがホルモンレセプターと結合するとがん細胞が増殖します。これを抑えるための薬がホルモン剤です。
ホルモン剤にはホルモンレセプターをふさいでエストロゲンとの結合を妨げる抗エストロゲン剤、エストロゲンが作られるのを抑えるアロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤などがあります。
閉経前と後ではエストロゲンの作られ方が違うため、使用する薬剤が異なることもあります。
閉経前:@抗エストロゲン剤(タモキシフェン)
ALH-RHアゴニスト製剤(ゴセレリン、リュープロレリン)
―この製剤は卵巣のエストロゲン合成を抑えます―
閉経後:@抗エストロゲン剤(タモキシフェン、トレミフェン)
Aアロマターゼ阻害剤(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)
その他に黄体ホルモン剤(酢酸メドロキシプロゲステロン)があります。
ホルモン療法にも副作用はあるのですか?
(深谷赤十字病院・山下純男) エストロゲンは女性にとって大切なホルモンであり、閉経によりエストロゲンの分泌量が変化するために更年期障害が現れます。
ホルモン療法は乳がんに対するとても大事な治療戦略の一つなのですが、このホルモン療法によってもエストロゲン分泌や作用が阻害されることで更年期様症状、骨粗鬆症などの副作用が出現することがあります。
主な副作用には次のものがあります。
@更年期様症状(ほてり、熱感、のぼせ、肩こり、頭痛、不眠、めまい、発汗、うつ状態、
動悸、不安感など):エストロゲンが低下することで起こる症状です。
A体重増加:エストロゲンが低下することでコレステロールが増加することがあります。
B骨量の低下、筋肉の症状(骨折、骨粗鬆症、関節痛など):骨のカルシウムが減少するために起こることがあり、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤によって起こります。
反対に抗エストロゲン剤は骨を強くします。
C生殖器の症状(性器出血、膣分泌物の増加、膣炎など):タモキシフェンは子宮体がんになる危険度を2〜3倍に上げると言われています。800人に1人の割合が2〜3人になりますが、ほとんどは早期がんで死亡率が増えることはありません。
D血液系の影響(血栓症):タモキシフェン、酢酸メドロキシプロゲステロンで起こすことがあります。
IX.化学療法に関すること
抗がん剤の副作用が恐いのですが
(埼玉県立がんセンター・井上賢一)
確かに,抗がん剤には副作用が有ります。特に,抗がん剤の中で化学療法剤は,細胞分裂に関与する部位に作用します。
また,正常細胞よりもがん細胞によりダメージを与えることで治療効果,つまり,がんを縮小させます。特に細胞分裂の活発な,口の粘膜,毛根や血球を作る骨髄では,
副作用として,口内炎,脱毛,白血球減少,貧血,血小板減少を引き起こすことになります。
その他にも,化学療法剤の種類によって特徴的な副作用があります。例えば,アントラサイクリン系薬剤であれば,嘔吐や吐き気です。タキサン系薬剤はアレルギー,
その中のタキソール(パクリタキセル)は神経障害(しびれや脱力など),タキソテール(ドセタキセル)はむくみです。
代謝拮抗剤のゼローダ(カペシタビン)は手足症候群(手足の皮膚が剥離)です。
ただし,10年前に比べると副作用を軽減する薬の開発も進んでいます。薬剤の副作用のためだけで,治療を中止される方は一部です。
医療者も治療する上で,薬の副作用の説明をしますが,それは恐怖心をかき立てるために行うのではなく,もし副作用が起こったとしても,副作用を知って起こってほしいからです。
実際,副作用は個々別々で,個人に起こる副作用を予測することは困難です。ただ,乳がん治療において,化学療法剤で緊急入院しなくてはならない方は,ほとんどありません。
先入観から怖いというだけでなく,化学療法剤の利得と不利益を考えて適切な治療を受けられることを切望します。
抗がん剤を使うと髪の毛が抜けると聞いたのですが
(埼玉県立がんセンター・井上賢一)
抗がん剤,特に化学療法剤は,脱毛必発の薬剤があります。特に,乳がんでよく使用される,アントラサイクリン系薬剤やタキサン系薬剤はほぼ100%脱毛します。
投与法によって異なりますが,投与2週後から脱毛が始まり,その後1〜4週間後には完全脱毛に至ります。
脱毛中は,頭皮がちりちり感じる,ニキビの様な湿疹や色素沈着が起こります。むやみに毛髪を引いたりして抜かないことが大切です。
もし,頭皮の細菌感染または湿疹が認めたら,主治医に相談し適切な処置をしてもらいましょう。
治療前にWig(かつら)の準備をされることをおすすめしますが,薬剤投与してからでも間に合います。中には個々に工夫をされて,帽子やスカーフをされている方もいます。
薬剤投与が終了すると,個人差は有りますが発毛してきます。ただ,毛髪の質が,癖毛の様になり,以前の毛髪より細いことが多いようです。
白髪染めを希望される場合には,一般的に以前使用したことがある染料であれば問題はないと考えています。心配であれば,部分的に染めて試されることをおすすめします。
脱毛は,重要な抗がん剤の副作用で,まだ特効薬はありません。ただ,医療者は,脱毛を軽視しているわけではないのですが,それだけで治療法を選択していません。適切な治療を選択すると,どうしても脱毛が避けられないということです。
ハーセプチンを使いたいのですが,どうすれば良いでしょうか?
(戸田中央総合病院・袴田安彦)
トラスツズマム(ハーセプチン)は、がん細胞の表面にあるHER2タンパク(乳がん細胞の増殖促進因子の受容体)を特異的にねらって、がん細胞の増殖を抑制する薬です。
HER2タンパクは、正常な細胞にもわずかに認められますが、乳がんになった人のおよそ三分の一くらいの人では、たくさんのHER2タンパクを持っているいる人がいます。
このような場合をHER2過剰発現(HER2陽性)と言います。ハーセプチンを治療で使うことができるのは、このようにHER2過剰発現が確認された転移性乳がんの人です。
ですから、乳がんであれば誰にでも効果のある治療薬ではありません。
ハーセプチンが使えるかどうかは、ハ―セプテスト(転移巣または初回手術時の乳がん組織を免疫染色し判定します)を施行して確認しなければなりません。
また、ハーセプチンを使う時は、重い副作用として心毒性があるため、投与前に心エコーを施行し、心機能の評価が必要です。また初回投与時、infusion reaction(初回投与開始後24時間以内に悪寒、戦慄を伴った発熱反応)とよぶ副作用が出現する場合があるため、
初回投与時は入院が推奨されています。
X.その他
セカンドオピニオンはどこに行けば受けられるでしょうか?
(戸田中央総合病院・袴田安彦)
現在担当している医師の診断、治療法だけではなく、別の専門医に意見を求め、現在受けている診療をより理解し、納得して受けることを目的としてセカンドオピ二オンは施行されています。
セカンドオピ二オンを聞くことができる施設を探すには、担当医師の紹介、患者団体の窓口等ありますが、日本乳がん学会では、数年前より専門医制度を発足しており、乳腺専門医が登録されてます。
乳癌学会のホームページを参照して専門医のいる病院にてセカンドオピ二オンを受けられることをお勧めします。
また受診する際には、現在の担当医師に診療情報提供書(現在までの経過、検査結果、治療内容、今後の治療方針等)を依頼して持参する必要があります。
編者注:近日中に埼玉乳がん臨床研究グループ参加施設それぞれのセカンドオピニオンに関する取り組みについて公開する予定です.
ストレスが病気に悪いとよくいわれますが.
(新都心レディースクリニック・甲斐敏弘)漠然とした言い方ですが,過剰なストレスは身体にとって良くないものだと思われます.もちろん,ストレスを科学的に評価するのはとても難しいので,医学的・科学的な知見はあまり無いと思います. テレビ番組的な井戸端会議的なレベルの話としては,ストレスには域値があって,適度のストレスはその人の能力を高めますがどこか一線を越えるとへなへなとダメになることがあります(*). また,ストレスが免疫能を低下させるとか,夫婦喧嘩のストレスが病状を悪化させた話とか,反対に落語で笑うことで慢性関節リウマチの人の炎症性たんぱく質(IL-6)が下がったとかの話はあるようです.ストレスは貯めずに発散すること,笑うこと,朗らかに生きることがよろしいようで. (*)肝細胞を抽出して負荷をかけるときも同じような二相性の反応をすることがあります.ある程度のストレスでは肝細胞は活発に代謝しますが,あるレベルになるとどっと死んでしまう現象です.細胞レベルでも人間のレベルでもとても似た反応だなあと思います.
乳がんの予防方法を教えてください.
(新都心レディースクリニック ・甲斐敏弘)そう都合の良い予防方法はたぶん無いと思います.なぜなら,人間の細胞はもともと極めて精緻で多種多用なシステムを擁して安全性を担保しています.
そんな安全対策に狂いが生じて,その変な細胞が生き残り続けた結果が癌なのですから,何か薬を飲んだから予防できるというような都合のいい話はないでしょう.
月に一度の自己検診と年に一度の乳がん検診を受けていただき,あとは朗らかに生きていただくことに尽きるのかも知れません.
とは言っても,これだけでは少し寂しいのでもう少し触れますと,科学的な根拠に基づくがん予防として国立がんセンターの情報があります.
要は「ほどほどの生活態度,ほどほどの食生活」と言ったところですけどね.
また,「味噌汁」「イソフラボン」にしても予防する効果がたぶんあるといったレベルです.(味噌汁ばかりを飲んで血圧を上げないように注意しましょう.)
なお,米国National Cancer Instituteでは乳がんの家族性負荷の強い人達に予防的に乳がん治療薬「タモキシフェン」を飲んでもらうことで予防効果があった
(反対に子宮内膜がんや心筋梗塞,血栓症のリスクは高くなる!)としています.
また,骨粗しょう症治療薬のラロキシフェンもタモキシフェンと類似の作用があって,
タモキシフェンと同等の乳がん予防効果があったとしています.
ただ,それぞれの薬剤には当然好ましくない副作用もあるわけですからよく斟酌すべきとしています.
(ちなみに日本では予防的投与は認められません.)
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